今回の担当は首都圏本部のHです。
年度初めで震災明け一発目ということで、真面目に書いてみました。
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3月11日に発生した東日本大震災から1カ月が過ぎました。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災地の一日も早い復興を願って止みません。
地震、津波、H発事故と国難級の災害が同時に起きたことにより、社会的かつ経済的な二次災害の影響も甚大なものとなりました。数十年に一度あるかどうかのクライシスと言えるでしょう。そしてこのような非常時ほど、自国の潜在的な国力を思い知らされることとなりました。それは言い換えれば「日本人とは何か」についての再確認かもしれません。いい意味でも悪い意味でも。
震災を通じて改めて知る日本人の姿とは何か。この議題は複層的な視点で語られなければなりません。色々な方々が様々なメディアで論考されていますが、私が所属する業界的な視点からテーマを1点に絞って感想を話します。ポイントは「コミュニケーション」。
■日本人が一番に優先することは『集団との調和』
ずっと変って無かったんですね、日本人は。「社会のために会社のために、個の主張を抑えて奉仕する」といった戦後の成長期の美徳とされてきた日本人気質。そしてバブル崩壊後、そのアンチテーゼとして、個人主義、実力主義というドライなマインドやスタイルが持て囃された平成時代。世代が移りゆく中で日本人気質も変わりゆくあるのかなと思っていたら、全然変わってなかった。古い人のみならず若い人たちもそうだった。宗教の無い国、異文化にも調和し自在に姿を変える国、一見掴みどころの無いこの国の、ずっと変わらない本質を今回改めて確認出来たと思うんです。自分で気付くとともに世界中の人々から言われて改めて気付きました。
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災害初動の対応時は、こうした日本人気質の良い面である秩序をもった集団調和意識が混乱や過度な災害の拡大を防ぎました。しかし一方で「自粛同調」「集団判断依存」などの日本人気質のダークサイドとも言える点も現れてきています。これから長期にわたる復興期(支援期)へ向うに際して、この足かせを外していく必要があります。
■過度な自粛同調圧力
「不謹慎」という言葉がメディアに溢れ返りました。慎みや思いやりは大事ですが、盲目的な自粛同調圧力による経済活動への過度な圧迫も指摘されてきています。既に目に見えるところで言うと観光業界やエンタメ業界への影響が報道されています。日本全体で今後長い間にわたり被災地を支援していかなければなりません。電力などのライフラインへの配慮による自粛は必要ですが、普通に暮らせる人はいつも通りに暮らして、どんどん経済を回して社会を活性化させていかないと支援の余裕も出来ません。被災地を思う気持ちは持ちつつも過度に自粛せず、レジャーでもショッピングでもどんどん行って、いつものペースで暮らしていきましょう。
■個人単位の情報判断力
震災報道を通じて、意図的な情報操作や扇動、エンタメ的な劇場型報道など、メディアの報道のあり方に関しても色々と指摘されています。おそらく日本のメディアの能力限界が今回露呈したと言ってもよいわけですが、この問題は今回の本題ではないので脇に置いておくとして、それ以上に国民一人一人の情報への接し方が問題だと感じました。日本人は情報を鵜呑みにしすぎです。言い方を換えれば、情報の一つ一つを自分で判断しようとせずに集団の判断に任せる傾向があるということです。
非常時には何かを信じたい気持ちが強くなるわけですが、やはり無宗教の国が故の傾向なのでしょうか、一人一人が主体的に情報を判断せずに安易に信じて拡散してしまう。「大メディアの報道だから・・・」「大勢の人が言っているから・・・」これだけの理由で信用してしまう。もっと一人一人がこのことについて考えなければなりません。個人単位での情報判断力の弱さによって起きている甚大な二次災害がいわゆる「風評被害」なのです。
ツイッターやブログなどネット社会の昨今、個人単位でマスへの情報発信が可能な時代。日本が再び立ち上がるためには、個人個人が主体的に考えて判断し、必要な情報を選別して発信し行動することが大事です。
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まだ、地面も心も社会も揺れている日本ですが、世界中から多くのメッセージが届いています。
http://www.messagesforjapan.com/
ありがたいことです。「所詮日本人なんて...」みたいな、斜に構えた自嘲的なトーンがクールだというような風潮がここ最近の若い世代にありましたが、日本も捨てたもんじゃないですね。日本人であるという自尊心を力にして、一人一人が出来る範囲でがんばっていきましょう。
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