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「言語化」力
頭の中にある漠然とした考えや想いや主張を、いかに言葉に出来るか。
これは営業という仕事をするうえで、業務を円滑にして精度を高めるための
一番のポイントかもしれません。

営業でいう「言語化」能力というのは、広告コピーや企画書ワードのような、
表現能力ではなく、即興のライブコミュニケーションの能力です。
私は以前は制作として、時間をかけて言葉を創る仕事をしていましたが、
それとは違う質の力です。これが中々難しい。

この「言語化」力について最近感心されられたのが、
先週まで世界中を熱狂させたあの羽生結弦選手です。
彼は肉体と精神の表現探求者であると同時にコミュニケーターでもありました。

先日、五輪連覇を果たした彼が国内外のメディアに向けて会見を行いました。
その映像や記事を見てとても驚きました。彼は社会人一年目の世代ですが、
「受け答えがしっかりしている」という基本的なコミュ能力は言うに及ばず、
国内外の記者から投げられたあらゆる質問すべてに明快な言葉で返しました。

しかも「感想をお聞かせください」みたいな簡単な質問ではありません。
「4回転ジャンプの感覚を素人にもわかるように」
「技術と芸術性の関係についてどう思うか?」
といった感覚の言語化や競技観を問う難問に加え、いちアスリートが
簡単には答えられないような政治的な質問まで記者から投げられたわけですが、
羽生選手はその場で考えながらも、すべての質問に対して「言語化」しました。
政治的な質問にも様々な要素を俯瞰して判断し、必要なことだけを言葉にしました。

そしてこれらは、彼自身が意識して「メディアのために」言語化しているのです。
「フィギュアのため」「日本のため」という巨視的な視点でみた自分の役割を認識し、
どんな無理難問に対しても笑顔で言葉にしている23歳の青年がそこにいました。

一通り見聞きした後、自分が新人の時どうだったかを考えて凹むと同時に、
今の自分でさえも、即時に考えながらあそこまでしっかりと芯を捉えた言葉を
目の前のお客に対して言えるのか?と自問自答し、唸ってしまいました。

来期に向けて切り替えていく時期に思わぬところで、
仕事をするうえで大切な事を改めて確認させてもらいました。
羽生選手ありがとう。

| カテゴリ : 営業 T.H |  |

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