羽生結弦選手が現役引退とプロ転向を表明しました。
フィギュアスケートの一つの時代が終わりましたね。
羽生選手といえば印象深いのは、「言葉の力」です。
例えば今回でも「引退表明」ではなく「決意表明」であり、
「現役引退しプロ選手として戦っていく」とのことで、
"終わり"ではなく、"新しいステージへの挑戦"という意味を
相当に意識して伝えようとしている印象を受けました。
それでもメディアは「羽生結弦、引退!」となるわけですが、
これこそが羽生選手特有の言葉によるブランディングと
モチベーションマネジメントなのだと思います。
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過去の羽生選手の言葉で印象的だったのは、平昌五輪で
金メダル獲得後のインタビューで、当時話題になっていた
ジャンプ採点の変更について質問を受けた時の発言です。
技術と芸術のバランスについて語っています。
『芸術は明らかに正しい技術、徹底された基礎によって
裏付けされた表現力、芸術であって、それが足りないと
芸術にはならないと僕は思っています』
『僕は難しいジャンプを跳びつつ、それがあるからこそ
芸術が成り立っているんだなというようなジャンプを
これからもしていきたい』
つまり、《技術は目的でなく、あくまで芸術の手段》
と言ったのです。当時、この発言には唸りましたね。
フィギュアというスポーツの視点でも唸りましたし、
これは日頃仕事で目にしているデザインについても
言えることだと思ったのを覚えています。
羽生結弦選手、演技の美しさ、競技能力はもちろん、
本当に言葉の力に長けた選手でした。
プロ転向後の舞台でも、さらなる活躍を楽しみにしています。
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過去ではイチロー、中田英寿、今では井上尚弥など、
世界レベルで戦うアスリート達は皆一様に、
自分の言葉を持ち、伝えるスキルを持っています。
全く別の世界にいる次元の違う人たちではありますが、
「言葉で伝える」というのは仕事柄、または個人的趣味で
非常に興味深く思っており、今後もアスリートたちの
言葉に注目していきたいと思っています。