暦では夏至はとうに過ぎ、夏の盛りはどのあたりなのかもわからぬくらい暑さが続くこの頃ですが、
皆様はどのようにお過ごしでしょうか?
私はと言えば、減退する食欲に対抗すべく、糸こんにゃく冷麺で暑さを乗り切ろうとしております。
自宅にある調味料で作れるスープと、キムチ、もやしと同じくらい単価の安い糸こんにゃくには
もう足を向けて眠れないです。
さて話は変わりますが、最近、広告業界を震撼させた出来事と言えば、
スタジオジブリの最新作「君たちはどう生きるか」ではないでしょうか?
キービジュアルのみ公開され、一切の前情報が報道される事もなく公開された本作品は、
内容のネタバレを防ぐ為、パンフレットの発売も遅らせる徹底ぶり。
蓋を開けてみれば、メイン声優に菅田将暉や、あいみょん、主題歌は米津玄師と
サブカルチャー界隈では若手の名の知れた豪華な面子の名前を、
観覧者はスクリーンの最後で知る事になりました。
そんな一切告知をしなかったこの映画がにわかにヒットしたことを受け、
ネットではまことしやかに、現代において広告宣伝は無駄であるなどと騒がれておりますが、
一広告代理店からすれば、それはなかなか無理があるというものです。
必ずしも良いものを見せてくれるという確信があるから成り立っている今回の広告手法は、
例えばBALENCIAGA、やCELINEなど、すでに保証されたブランド力があるからこそ成り立つ事で、
不動産のように「場所の価値+物の良さ」と最初から複数の評価ポイントが存在し、
売主のネームバリューで「物の良さ」はすぐ量れたとしても「場所の価値」は全て等しく新しい物件にとって
再検討事項になるような商品に同じ手法を適応するのはあまりにも無謀です。
しかも、今回は売っている物の単価もポイントです。
もし内容が自分の感性と合わなくとも、映画であれば2,000円と2時間を、お菓子であれば300円と5分を、
ブランド品であれば(物に寄りけりですが)数十万円と数時間を無駄にするだけで済みますが、
私達の広告宣伝する不動産は、買い手側にとって数千万?数億円と70年近く長く付き合う買い物になるわけです。
もはや規模が違います。もちろん買い手側も十分慎重になるわけです。
少なくとも不動産においては、沢山の情報が交差する現代だからこそ、
ネタバレをしたとしてもキチンとその価値をこちらから整理して示してあげる必要があると、
改めて感じた今回の出来事でした。
同時に、現代におけるSNSの力は偉大で、見習うべき部分も大いにあると、
新しいコンテンツの訪れにわくわくもするような、本編以外も楽しめた本作品でした。
酷暑が続き、すでに秋の台風がちらほらと顔を出し始めておりますが皆様お体お気をつけてください。